マンション投資の自己資金10万円スタートについて
ワンルームマンションを1戸だけもつケース

よく広告で、ワンルームマンション投資が「自己資金10万円で始められる」と見かけます。はたして、本当でしょうか?
10万円というのは頭金のことを指しています。ただ、登録免許税・司法書士への報酬などなどの諸経費が別途かかります。
それらの諸経費はざっと50~60万円ぐらいです。現在、それらの諸経費もローンに含めることが出来ることもありますので、10万円でマンション投資を始められるのは間違いないようです。
今、あなたに銀行預金が500万円あったとしましょう。その場合でも、頭金10万円でスタートしたほうがいいのでしょうか?
具体的な数字を使ってみていきましょう。
※実際に最近販売されていた物件を参考にしています。
・立地:都心の駅から徒歩3分 ・総戸数:50戸
・築22年のワンルームマンション
・販売価格:2,100万円
・諸費用:60万円
・月額家賃:85,000円
・管理費:9,000円
・修繕積立金:4,000円
・管理代行費:3,300円
・金利:1.9%
・借入期間:35年
・固定資産税:4万円
・不動産取得税:10万円
●上記の条件のワンルームマンションを購入するとして、【頭金10万円のケース】と【頭金240万円のケース】で比較してみると・・・・
頭金10万円 | 頭金240万円 | |
自己資金 | 100,000円 | 2,400,000円 |
借入金額 | 21,500,000円 | 19,200,000円 |
ローン支払い月額 | 70,123円 | 62,621円 |
月額手取り収入 | ー1,423円 | 6,079円 |
年間手取り収入 | ー17,076円 | 72,948円 |
となります。
※頭金を240万円にしたのは・・・
現在500万円の貯金を全額使うのは不安→例えば、最悪リストラになって転職する必要が出てきて、半年間無収入になった想定→失業保険が出るので、その点を加味して月20万円×6か月で120万円、多めに見積り200万円の貯金を残しておく→そうすると300万円使えるので、諸経費の60万円を差し引いて頭金を240万円入れられる。
●35年間での比較
頭金10万円 | 頭金240万円 | ||
① | 毎月のキャッシュフロー | ー1,423円 | 6,079円 |
※② | 初年度キャッシュフロー | ー157,076円 | ー67,052円 |
※③ | 年間キャッシュフロー | ー57,076円 | 32,948円 |
※④ | 35年間の累計キャッシュフロー | ー2,097,660円 | 1,053,180円 |
⑤ | 自己資金(頭金+諸費用)投入額 | 700,000円 | 3,000,000円 |
⑥ | ④-⑤ | ー2,797,660円 | ー1,946,820円 |
※②固定資産税と不動産取得税を考慮に入れています。
※③固定資産税を考慮に入れています。
※④簡略化のため設備交換費・空室・家賃下落は考慮に入れておりません。
結局、ワンルームマンション投資は意味がない?

結局、どちらも最終的には約200万円以上のマイナスになりますよね?だったら、最初の初期投資が少ない頭金10万円の方がいいのでしょうか?
どちらのケースでも200万円以上のマイナスが出るので、そもそもワンルームマンション投資自体をやるべきではないのでしょうか?
1戸購入したケースで考えるから、分からなくなってしまうのです。少し踏み込んで、別の角度で見ていきましょう。
ローンのない家賃収入だけが入ってくる物件を早くもつ

都心のワンルームマンションの家賃相場は、8~9万円です。将来、仮に20%も家賃が下落したとしても64,000円~72,000円です。
まあ、70,000円としましょう。そうすると、老後の年金の補填としては7万円は無いよりありがたいですが、豊かな老後を送るには20~30万円ほど欲しくないですか?
そうすると、ワンルームマンションを中長期的な計画を立てて、3戸~5戸に増やしていく必要があります。
そのためには、まず1戸目のローン返済を無理のない範囲内で早めに終わらせ家賃収入のみが入ってくる物件にする必要があります。
次に、ローンを組んで2戸目を買います。その時に、1戸目の家賃収入を全額2戸目のローン返済に充てていくのです。
これを繰り返すと、30歳の時にスタートすれば32年後つまり62歳の時点でローン返済が終わったワンルームマンションを5戸保有することが出来ます。
62歳から、お給料や年金とは別にワンルームマンションを5戸分の家賃収入が黙っていても入ってくるというわけです。
先ほど言ったように、仮に家賃が20%も下落していたとしても、7万円×5戸=35万円が安定的に毎月入ってくることになります。
もちろん、毎年の固定資産税や設備の修繕費等はありますので、実際にはもう少しマイナスにはなりますが、それを考慮しても凄く頼もしい収入になりますよね。
長期で無理なく焦らずコツコツが成功に不可欠

要するに、ワンルームマンション投資は長期にわたり計画的にコツコツと行うことで、あなたの将来の生活費を大きく助けてくれる頼もしい味方になってくれるということです。
つまり、このようにドンドン買い増していくには、早めにローンがない家賃収入のみが入ってくる物件を持つことが重要になってきます。
そのため、先ほどの例ですと頭金10万円よりも、頭金240万円を入れてスタートし、キャッシュフローもプラスでスタートさせ、繰り上げ返済を行い、なるべく早めにローンの返済を終えてしまう事が重要になってきます。
繰り上げ返済は、利息軽減効果にもなりますので、非常に有効な手段なのですが、くれぐれも無理のないように実行することが重要です。
ドンドン繰り上げ返済して、貯金が底をつき、そこで失業して無収入になってしまえば、将来の家賃収入を得る前に、現在の生活に行き詰ってしまいますからね。
つまり、繰り上げ返済は重要ですが、慎重さも重要なのです。
まとめ

ワンルームマンション投資を始めるのであれば、1戸でも将来の年金不足を補うのに役には立ちますが、1棟物やアパート投資に比べると家賃収入が少ないです。その分、物件価格は安いですけどね。
「ワンルームマンション投資は儲からない」という人もいるようですが、それはそもそも1戸所有を前提に話されているからです。
だから、無理なくコツコツと長期に渡り買い増して将来の家賃収入を増やしていく戦略が必要になります。
買い増し戦略には、物件の目利きと投資分析と合わせて三位一体になって行うことが非常に重要になってきます。
このあたりの三位一体作戦は、別のブログで順を追ってじっくりとお伝えしていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。