不動産投資の『表面利回り』と『実質利回り』~利回りが高ければ良い物件でしょうか?~
※数字が苦手は人でも100%分かるように書いておりますので、安心して読み進めて頂ければと思います。
利回りとは

ご存じの方は申し訳ありませんが、復習の意味で読んで頂ければと思います。利回りとは、元本に対していくら利息がつくかの割合のことです。
例えば、1,000万円を銀行に預けて年利0.01%で1年間預けたとしましょう。1年後には1,000万1,000円になっています。(※説明のため源泉は考慮していません)この場合の1,000円が利息で0.01%が利回りです。
2つの利回り

不動産投資でも、この物件は利回り5%だとか10%だとか表現されます。不動産投資における利回りは次の式で計算されます。
★年間の家賃収入÷購入した物件の価格×100
例えば、ワンルームマンションを2,000万円で購入して、家賃が月90,000円だとすると・・・
年間の家賃収入(90,000円×12か月)÷購入した物件の価格(2,000万円)×100=5.4%この5.4%が、この物件を購入した時の利回りになります。
でも、これは本当の意味での利回りではありません。
家賃が月90,000円でも、それが丸々所有者さんに入ってくるわけではありません。
マンションの所有者が購入後に毎月支払うべきものには・・・
・管理費(マンション共用部の電気代など)
・修繕積立金(将来のマンションの修繕費用にあてるために積み立ててておくべきお金)
・管理代行費(不動産管理会社が行う賃貸募集や家賃回収、賃借人のトラブル対応などの委託料)
があります。
例えば、
家賃:90,000円
管理費:5,000円
修繕積立金:4,000円
管理代行費:3,000円
だとすると
90,000円―5,000円―4,000円―3,000円=78,000円。これが、所有者に実際に入ってくるお金です。
先ほどの式に当てはめると・・・
年間の家賃収入(78,000円×12か月)÷購入した物件の価格(2,000万円)×100=4.68%になります。
今の例の5.4%を表面利回り、4.68%を実質利回りと言います。
表面利回りをグロス、実質利回りをネットと言ったりもします。
不動産投資の物件で表示されている利回りには、表面利回りの場合と実質利回りの場合があります。
実際の手元に残るのは、今ご説明したように実質利回りの方ですので、利回りは実質利回りで確認した方が良いと思います。
利回りが5%と10%のマンションなら、どちらを買いますか?

利回りが高い10%の方を購入しますか?もちろん、その方がいいですよね。本当にそうでしょうか?
もう一度利回りの計算式をよく見て下さい。
年間の家賃収入(78,000円×12か月)÷購入した物件の価格(2,000万円)×100=4.68%
家賃収入の部分に着目してください。あれ?これって、もし1年のうち何か月か空室になったらどうなるの?空室期間は0円でカウントします。
例えば、1年のうち3か月空室になると・・・
年間の家賃収入(78,000円×9か月)÷購入した物件の価格(2,000万円)×100=3.51%
利回りが4.68%➜3.51%へと1%以上も下がりました
次に3か月も空室のままなので、家賃を5,000円下げたとすると・・・
年間の家賃収入(73,000円×9か月)÷購入した物件の価格(2,000万円)×100=3.285%と先ほどより更にさがりました。
つまり、不動産投資における利回りとは、その家賃で空室がなく続いたらという前提の元に計算されているに過ぎないのです。
そこで、冒頭の質問「利回りが5%と10%のマンションなら、どちらを買いますか?」ですが、家賃の下落や空室が出そうなら一概に10%の方がいいとは言えないということなのです。
だから、単に利回りの数字がいいというだけで、収益の良い物件とは言えないのです。
地方と東京の利回り

現在の東京都心のワンルームマンションの実質利回りは4%前後のものが多い気がします。
地方のマンション投資や、1戸建て投資だと利回り20%なんていう物件もあります。その数字は魅力的にうつると思います。
ただ、さきほどの話を思い出して頂きたいと思います。その家賃で空室がなく続いたらという前提があります。
以前のブログ【だから東京!だからワンルーム!】でも書きましたが、東京と地方では将来の人口減少の幅も違い賃貸需要も違ってきます。比較すると、東京の方が賃貸需要がありますので、空室も出にくいのです。
ただ、誤解しないでいただきたいのが、だから地方で不動産投資をやるべきではないと言っているわけではありません。
空室リスクを下げて家賃が下がらないように工夫することで、実際に上手に運用なさっている投資家の方もいらっしゃいます。
ただ、そういった方はリフォームして物件自体を良くしたり、地元の不動産会社を当たって広告費を払うなどして借り手がつくための創意工夫をされています。
決して、買ってほったらかしではありません。また、そういった創意工夫が必ずしも成功するわけではなく、何度か失敗をされて運用が上手くなる方が多いようです。
もし、あなたの目的が出来るだけストレスなく、手間なく、手放し、ローリスクで将来の個人年金的な目的で投資をしたいのであれば、地方ではなく東京でのワンルームマンションをおススメいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。