不動産投資(マンション投資)で節税できるの?~節税になる仕組みと考え方~
※記事内の税金については、あくまで一般的な内容として記入しています。個別具体的な内容については税理士に確認する必要があります。
よく不動産投資(マンション投資)をしたら節税になると言われます。
結論・・・
所得税⇒節税効果は限定的
相続税⇒節税効果は大きい
また、「デッドクロス」が生じるというリスクもあります。
※デッドクロスについては以下をクリック!
それでは、節税になる仕組みから見ていきましょう。
節税になる仕組み
マンション投資で得られる家賃収入は「不動産所得」に該当するので、毎年確定申告を行う必要があります。
不動産所得は次の式で計算されます。
『不動産収入(家賃収入)-必要経費』
不動産所得が赤字であれば、給与所得から差し引いた額を基準に所得税・住民税を納める事になります。
このことを「損益通算」といいます。
法的根拠は所得税法第69条になります。
・所得税法第69条
総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。
具体例で見ていきましょう。
【具体例】
下記の所得税の速算表で計算しています。
年収が500万円の会社員の所得税は
500万円☓20%−427,500円=572,500円
になります。
マンション投資をして・・・
不動産所得が100万円の赤字を出した場合、損益通算ができるので400万円の課税となります。
そうすると、所得税は・・・・
400万円☓20%−427,500円=372,500円
になります。
つまり・・・
572,500円−372,500円=20万円
「20万円」の税金の戻りがあります。
税金の戻りのことを還付金と言ったりします。
これが、不動産投資で節税できる仕組みです。
『不動産所得 = 不動産収入(家賃収入) - 必要経費』
この計算で不動産所得のマイナスが多ければ多いほど節税効果があるわけですから、必要経費が多いほど節税効果が大きいという理屈になります。
それでは、次に、どういったものが必要経費に出来るのか見ていきましょう。
不動産投資(マンション投資)における必要経費
必要経費として認められるものに
次のようなものがあります。
【固定資産税・都市計画税】
※マンション購入後に保有している間は、毎年支払う市町村税です。東京の物件価格2,000万円のワンルームマンションだと、約5~6万円が目安です。
【不動産取得税】
※マンション購入時に1度だけ支払う都道府県税です。不動産所在の都道府県に納める必要があります。東京の物件価格2,000万円のワンルームマンションだと、約10~15万円が目安です。
【減価償却費】
【火災保険などの保険料】
【ローン返済額】
(※注意!⇒利息部分のみで元金部分は経費計上不可)
※マンション投資のローンは、通常、元利均等方式です。
元利均等方式は、毎月のローン返済額は完済月まで同じです。最初のうちは利息部分が多いのですが、年月が経つにつれて元金の返済部分が多くなり利息の返済部分が少なくなります。
イメージにすると下の図のようになります。
【管理費/修繕積立金】
【設備交換費用】
※一般的には、毎年経費計上できるものではありません。ワンルームマンションだと、一般的に10~15年に一度給湯器やエアコンをオーナー負担で交換する必要がでてきます。目安は1台につき約10万円です
【マンション購入にいたるまでの必要経費】
※人によって、計上できる項目も様々だと思われます。
①購入物件を下見するためにかかった交通費
②マンション投資の勉強で購入した書籍代
③マンション投資の勉強で参加した有料セミナーなど
④不動産会社等の関係者と打ち合わせで使った飲食費
などが経費計上可能です。
※関係がないものまで経費計上することは、節税ではなく脱税です。本当に支出した関連経費のみを経費計上しましょう!
不動産投資(マンション投資)は節税目的でやってはダメ!
先ほどの具体例では、年間100万円の赤字でした。
不動産所得で100万円の赤字を出すには、
年間家賃収入が120万円だった場合に、
220万円の必要経費を支出していることになります。
※関係がないものの経費計上は違法です!
年間100万円の赤字を出して戻ってくる税金が20万円なので、要するに80万円の赤字があるとも言えるのです。
そもそも毎年一定額の赤字を出しているというのは、そのマンション投資が毎年赤字を出しているという証明です。
物件価格2,000万円のワンルームマンション投資をフルローンで始めた場合の節税効果は1~2年ほどだと思ったほうがよいでしょう。
「確定申告して税金が戻ってきた!ラッキー!」ぐらいに思いましょう。
副産物、「おまけ」的な要素でしかないのです。
ただし・・・
相続税対策だと、だいぶ話が違ってきます。
つぎの項目から見ていきましょう。
相続税の基礎控除について
まず相続税についての確認です。
簡単に言えば、人が亡くなり相続人になった人が支払う義務のある税金です。
仮に、ご主人が奥様・子供2人を残して病気で亡くなったとします。
資産は現金1,000万円保険金1,000万円マンション2,000万円=計4,000万円だったとします。
このケースでは法定相続人は奥様と子供2人の計3人です。
民法上の法定相続分で計算すると各相続財産は
奥様=2,000万円
子供2人=それぞれ1000万円ずつ
になります。
このケースでは、奥様とお子さんは、どのくらいの相続税を納める必要があるのでしょうか?
3人とも相続税はゼロです。
相続税には基礎控除というものがあります。
・3,000万円+600万円×相続人の数
⇒相続財産が、この額までだと相続税はゼロ円なのです。
上のケースだと、相続人が3人なので・・・
・3,000万円+600万円×3人=4,800万円
相続財産が4,800万円までなら相続税はゼロ円です。
このケースでは、ご主人の遺産が4,000万円なので
支払うべき相続税はゼロ円になります。
ある程度の相続財産がなければ、相続税で頭を悩ます必要はないかと思います。
不動産を相続した場合の相続税の節税効果
仮に、相続財産が1億円あったとします。
★1億円を現金で相続したケース
1億円の現金を相続する場合、1億円に対して課税されます。
★1億円を不動産で相続したケース
不動産を相続すると、固定資産税評価額を基準に課税額を決めていますので、固定資産税評価額は国の公示価格の70%になります。
【課税対象額】
現金⇒1億円
不動産⇒7,000万円
つまり、3,000万円の差があります。
※課税対象額の差が3,000万円なので相続税の納税額が
3,000万円違うという訳ではありません。
このように比較すると、現金資産が多い人は、現金を不動産にしておくことで、相続人の納税負担を軽くすることが可能です。
先ほどの所得税の節税効果とは違うことがお分かりいただけましたでしょうか。
最後までお読み頂きありがとうございました。