マンション投資の生命保険代わりについて考えてみましょう

よくワンルームマンション投資を専門にしている不動産会社が「マンション投資は生命保険代わりになります」と宣伝していますが、これはどういう事なのでしょうか?

本日は、ワンルームマンション投資における「生命保険代わり」についてお話して参ります。どうぞよろしくお願い致します。

団体信用生命保険(通称:団信)

今までお話してきたようにマンション投資は通常ローンを組んでスタートします。

自宅を購入されたご経験のある方はご存じかもしれませんが、ローンで購入する場合に、支払者が万が一、亡くなったり高度障害になってローンを支払えなくなった場合に、デフォルトリスク(※ここでは、金融機関が貸したお金を返済してもらえなくなるリスクという意味です)を回避するために、ローン申し込み者に保険に加入してもらいます。

この保険のことを団体信用生命保険、一般的に略して団信といいます。

この保険に加入しないと、そもそもローンが組めません。ここでは細かいことは述べませんが、過去に病歴があれば加入できない可能性があります。

この団信への加入は、投資用の不動産を購入する場合も必要になります。

なぜ生命保険代わりになるのか?

例えば、投資用に2,000万円のワンルームマンションを購入するため団信に加入して、頭金200万円で1,800万円のローンを組んでマンション投資をスタートしたとします。

例えば、支払者が死亡した時点で、ローンの残債が1,000万円残っていたとしても、その1,000万円は支払いが免除されて、マンション自体が相続人に残ります。

もうローンの支払いはないので相続人は、マンションから得られる家賃収入を毎月手に入れる事ができます。

また、まとまった資金が必要になればマンション自体を売却して売却益を得る事もできます。

そういったこともあって、マンション投資は生命保険になると言われているのです。

マンション投資をすれば、生命保険は不要なのか?

今までの話から、マンション投資をすれば生命保険が不要のようにも感じます。でも、一概にそうとも言えないと思います。

それでは、不動産を売却した場合に、いつ現金が相続人に入ってくるのか?という点から見ていきましょう。

実は今年の6月に私の父が亡くなり自宅マンションを相続したので、その例でお話していきます。

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<私の実際の事例>

家族構成

父=71才 母=71才 私=44才 弟=42才

【ローン完済済みの自宅マンションの概要】

●新築購入時の物件価格 約3,000万円

●間取り:7階建ての4階の4LDK。分譲と賃貸の混在マンション

●築年数:25年

●福岡市の中心部からバスで約40分。バス停から徒歩2分。スーパーまで徒歩3分。コンビニまで徒歩5分。比較的閑静な住宅街

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というファミリータイプのマンションでした。

遺産分割協議書を作り、このマンションを売却して母に老後資金として相続させることにしました。

今年の5月頃から大手の不動産会社と媒介契約を結び、1,490万円で売りに出して買い手を探してもらっていました。

最終的に90万円値引きした1,400万円で6月中旬に買い手が見つかり売買契約をしました。

その直後に父が亡くなったので、葬儀をしてマンションの相続手続きと並行して、母が住むための賃貸マンションを探して賃貸契約をしたりなど忙しく過ぎて、買主サイドと日程を調整し9月上旬が決済日(※マンションを売ったお金が支払われる日です)になりました。

1,400万円という現金を入手するために、3か月以上もかかった事になります。つまり、不動産を売って現金を手に入れるためには、それなりの煩わしい手続きや時間が必要になります。

それに対して生命保険の保険金はどうでしょうか?父は県民共済に加入しており死亡保険金100万円でした。亡くなった後に県民共済に連絡し、死亡診断書などの必要書類を提出すると、5日ほどで受取人である母の通帳に100万円が振り込まれました。

コロナ禍ということもあって、父の葬儀は参列者が10人以下の家族葬で70万円ほどでしたので、結果的に保険金の100万円でお釣りが出ました。

私の事例から分かることは、圧倒的に生命保険の方が現金が手元に入るのも早いし手続きも楽だということです。

それから本人が死亡した場合に、そんなに大金が必要か?という問題もあります。

今は昔と比べて一生独身の方も増えてきています。亡くなるときは、ご両親も亡くなっている事がほとんどです。

そうすると、配偶者・第一順位である子・第二順位である両親がいないので、第三順位の兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹だから財産を残す必要はないとは言いませんが、配偶者や子供に残すことに比べたら大きなお金を残す必要性は少ないと思われます。

そういった意味では、一概には言えませんが、仮に生涯を通して配偶者や子供を持たないのであれば、マンション投資における生命保険の恩恵は少ないと思います。

一方で、配偶者と子供がいる働き盛りの人が40代や50代で不幸にも病気などで亡くなった場合は、配偶者と子供にローンのない物件が残るので、家族に毎月家賃が入ってきますし、残された家族にまとまった現金が必要になった場合は売却してまとまった現金を得る事も可能です。

先ほどの私の例で、築25年の地方で中心部からバスで40分というお世辞にも良い立地とは言えないマンションでも、3,000万円で購入したマンションが1,400万円で売れたのです。

もちろん、売るタイミングや様々な要素で売却価格は違ってきますが、都心の立地の良い賃貸需要のあるワンルームマンションなら、2,000万円で購入したマンションが将来1,000万円以上で売れる可能性は十分にあると実感した出来事でした。

確かにマンション投資をしてご本人に万が一のことがあれば、生命保険代わりになります。

でも、その人の家族構成や早急に現金を入手する必要性などを考慮すれば、マンション投資をしているから生命保険は解約しても問題ない!とはならないと思います。

このように、少し視野を広げて別の角度から見てみると、どちらが正解とは言えないことが分かると思います。

主人公はあなたです

生命保険は、現在様々な種類があります。今日の話で団体生命保険ひとつとっても、その人の状況などで捉え方が異なってくることが分かったと思います。

ワンルームマンション投資は、基本的にローンの審査が通りさえすれば誰でもスタートできます。

でも、「始められること=自分だったら始めるべき」ではありません。

なんのために?どういう目的で?どのようなスタンスで?投資を始めたいのか?これは個々人によって違ってきます。

どれが正解とか不正解ということはないのです。

一番問題なのは、「周りが投資を始めているから」「なんとなく始めた方がいいと思ったから」という曖昧な理由で始めることです。

私はマンション投資のコンサルティングが専門のFPですが、そのような方が相談に来られた場合には、「あなたはどのようなスタンスで、どういう目的で投資をしたいですか?」という事をお聞きし、お客様ご自身に自問自答して考えて頂きます。

餅は餅屋ですので専門の人間に相談することは正解です。

ただ、「あくまでも主人公はあなたです」という点をご理解頂きたいのです。

その上で、その人にとってベストな提案をしていくことが私の仕事だと考えています。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。